信楽焼の今
滋賀には、世界に誇る財産が3つある。
それは、びわ湖、信長の安土城跡、そして信楽焼だ。
先週の5月7日、信楽焼の大手工場を訪問した。
一昨年、滋賀県商工連合会主催する甲賀市の経営セミナーの講師に出向いた訳だが、
その場で、信楽焼の社長から、
「陶器で加湿器を作ったのだが、どうすれば売れるのかを指導して欲しい」との依頼を受けたことが切っ掛けである。
私であるが、
他社製品の「ものづくり」の指導をした経験もなければ、暇もないから、断るのが筋であるのだが、
物好きと云うのか、頼まれれば断れない性格も災いし、その場で、2つの提案をした。
これが、加湿器で、電気を使用しなくて、加湿が出来る。
陶器の目が粗い為に、サイフォンの原理で水を吸い上げ、それが乾いて加湿する。
大きさも色々とあって、前者が小さく、これが大型。
そみで、私の提案だが、1つは、加湿効果を測定したデーターを取ること、
次に、インテリアとして使用するには、デザインが悪い、の2点。
私としては、『果たして、本当に検査データーを取られるのだうか?』と半信半疑であったが、昨年、日吉さんに依頼され、そのデーターを送付して来られた。
『ほほう、本気なんだな。
こうなれば、行かねばなるまい。』
と、言う事で、7日を迎えた訳で、
ただ、私だけで行ったのでは、どうにもならない、から、デザインの人間を連れて行った。
一人は、学生時代の友人の鋤本君、
東芝の元部長で、現在は、経営支援NPOを立ち上げている。
もう一人は、現役の東芝社員で、デザイン部の元部長で、今は参与。
この二人には、金は払えんから、ボランティアで協力する旨を、前もって取り付けてある。
その後の展開も考え、甲賀市の信楽商工会の玉置(職員)さんにも同席頂いた。
これは甕で、この大きさを焼けるのは、ココだけらしい。
もともと、信楽焼は、大物を焼くので有名でだから、信楽一となると、日本一と言っても過言ではない。
日本に一台しかないイタリア製の大型ろくろも所有されていて、その価格は1億2000万円。
なんでも、東京の都市博で、オーダーを受ける予定で購入されたものだが、
生憎、都市博をしないとの公約の青島知事が当選されて、ご破算になったとのこと。
さて、この社長の会社であるが、
二十数年前の最盛期には、工場出荷額が6億円であったところが、今や、三十分の一へと激減。
売り上げが半分とか、3分の1になるのは、よくある話だが、ここまでとは、想像すら出来なかった。
信楽の他社も、ここまでではなかろうが、中国製の安物に押され、やはり各社、悲惨であるらしい。
マスコミでは、クールジャパンが持て囃(はや)されているものの、各地の地場産業の実態は、大方が壊滅状態である。
日本の夏の風物詩とも言われた「近江ちぢみ夏座布団」の生地を製造していたのは隣町の能登川であり、30年前には、そのメーカー数が10社を超えていたのであるが、今や、殆どが廃業、倒産してしまった。
これは地場産業だけでなく、地方の物販商店も、同様だ。
自社の仕事にすら追われている私に、果たしてどこまで出来るかは分からないが、
可能な限り頑張ってみたいと思っている。
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