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日本一の寿司職人と呼ばれた小松弥助さん (一年後に、その2)

小松弥助さんのお寿司を頂いて、はや一年が経過した。
 ↓ は、一年前に書いた記事である。
http://morinoshishi.blog.so-net.ne.jp/2011-10-03

先週、1年振りに食する幸せに恵まれた。
それと言うのも、昨年も予約をしてくれた坂本氏から、その半月ばかり前に、「今年も予約が取れたから、一緒に行きませんか?」とのお誘いを受け、迷うことなく、二つ返事で合点した。

その日は、月末で忙しいにも拘らず、である訳は、それ程に美味しくて、素晴らしいから、なのだ。

弥助さんの御年は、もう80歳過ぎ、とご高齢。
だから、弥助さんの顔を見るまでは、「どうか、お元気で!!」と願わずにはいられなかった。

私の父は、80歳で他界したのであるが、
そんな父が80歳に近い頃、「この年になると、一年一年と言うよりは、一月一月、いや、一日一日が貴重に思える。」と、しみじみ呟いていたことを思い出しつつの金沢への道のりであった。

2時半の予約の30分前には到着し、「おぉー、やってるわ。」と、先ずは、それだけで大歓び。
そんな思いからか、少しお痩せになられた気がした。

弥助さんの寿司に限らず、また年齢に拘らず、人生 何事も然りなのだろうと、ローリングストーンを想った。

最初と違い、ある程度の流れが分かっているから、落ち着いて食べられた。

坂本氏が弥助さんと私に、
「この前に寄せて頂いてから、ちょうど一年経つのですが、この一年間、ずっと寿司断ちをしてたんですよ。」

この気持ちも、解らぬではないものの、
やっぱり、「寿司好きの坂本さんが、どうしてまた?」と、聞いてしまう。

弥助さんも、よほど嬉しかったのか、他のお客さんに、
「この方!!」と坂本さんに手をかざし(そうなんだ、弥助さんは指差すなんて無礼な作法は決してなさらない、だから手をかざしながらである。)ながら、「弥助の寿司の味を忘れないようにと、一年間、寿司を食べなかったんですよ。」と、披露。

カウンターの隣りに、30歳前後の若いカップルが坐っていて、
出された小皿の寿司に手を伸ばし、そのまま口に放り込んでいる私に、「お皿を持ってはいけないのでしょうか?」と、小声で聞いた。
「好きに食べれば、いいんだよ。」と私が答えると、若者も一安心した模様。

やっぱり、イカの三枚下ろしには見惚れてしまう。
「僕も、練習しようかな。」と言う坂本氏に、「いきなりは、駄目だよ~、先ずは包丁研ぎから始めて貰わないと!!」

包丁研ぎと一口に言っても、これがなかなか難しいらしい。
弥助さん曰く「俳優の仲代達也さんから舞台に招待され、その役どころの中に仲代さんが包丁を研ぐ場面があって、その時、生憎と仲代さんの目に弥助さんが留ってしまい、冷や汗を掻いたと、漏らされましたよ。」
これは、如何に包丁研ぎが難しいかの証で、名俳優の仲代さんをもってしても、いや、名俳優だからこそ、名職人の前で包丁を研ぐ様を演じるのに苦労されたのだろう。

魚でもイカでも、上手い具合に包丁が入れば入るほどに、美味しくなるらしい。
イカを下しながら弥助さん「おっと、ここで止めたら二枚目になってしまう。やっぱ、三枚目じゃないと良い味がでない。」と、笑いを誘われる。

穏やかに笑いながらも、去年と同様に、やはり目は真剣そのもの。
「すっ」と差し出し、「美味しいよ~。」と言葉が添えられる。

隣りの女の子が、どんな顔して食べるのか、ついつい私まで覗いてしい、目が合う。
丁寧に、弥助さんと私にまで、「美味しい~」と、感想を述べて呉れた。

彼女ならずとも誰しもが、「あぁー、美味しい。。」と感嘆に近い言葉が、ついついと漏れてしまい、
その感動しているお客さんを見ることが、弥助さんの歓びなんだう、と私は理解している。

どうしたら、煮アワビがあんなにも、ぷくぷくとふよかながらもやわらかく、
どうして、あんなにも甘海老がまるまるとプリプリなのか、と思い出して楽しくなってしまう。
『だから、坂本氏は一年、お寿司を食べなかったのかなぁ~』なんて、解る気もする。

どうなんだろう、
『来年も、お元気で居て頂けるのだろうか。』と、気をもんでいる。

お値段であるが、それ程には高くない。
前半がセットになっていて、その後に、追加で3品ほど食べても、1万円くらいだから、お勧めしたい。

弥助さんを見ていると、
日本人に生まれたことに誇りを感じ、
私も弥助さんみたいに生きたいものよ。 と、決まって思う。


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