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シンボルタワーの取り壊しに付いて。

新年明けましておめでとうございます。

本来なら、新年の抱負から書き始めたいのであるが、
先ほど、友人から、「安土駅前(北口)のシンボルタワーの今後」に付いて意見を求められたので、少しまとめてみたい。

このところ、安土駅舎の改築に伴い、シンボルタワー取り壊しの是非が問われているらしい。

以前の話しになるが、安土駅南口の相撲櫓に鎮座するところの、「時計」が下された時にも、
『どう思う?』と、幾人の友人から、『それは、あかんやろう』との言葉を添えつつ、意見を求められた経緯もあった。

南口の時計櫓も、北口のシンボルタワーも、いずれも、私の父が町長4期の在職時代に建てたもの故に、父亡き今であるから、息子の私に問いかけられた、との事であろう。

しかし、私は父ではなく、と云うか、父親に関する事だけに、あまりこの手の話しに積極的に加わるのもどうか、との躊躇いがあり、ずっと意見を差し控えていた。
更には、「既に、結論ありき」らしき様相の中、意見を言ったところで始まるまい、との思いも、あるにはあった。

父が町長に就任したのは、今から35年前のことで、就任の翌年に「信長400年祭」なるイベントを皮切りに、それ以前の安土には、歴史の町「安土」を想起させる様な「何か」が殆ど無かったものだから、駅前のモニュメントを始めとして、信長の銅像、安土マリエート、安土セミナリヨ、信長の館等々の新設や、安土山の整備を、16年間掛けて実現した。

勿論、賛否はあろうが、それなりに広く町民の皆様から「よし」との評価をされていると、私自身は思っている。

南口の相撲櫓と、その天辺に置かれていた時計のモニュメントに付いては、周知の様に、相撲櫓が現在の大相撲の発祥の地が安土であり、また、日本で初めて「時計」を目にしたのが安土城の信長であると云う史実に基づいて建てられたものである。
これは、安土セミナリヨのパイプオルガンも同様で、日本で初めてオルガンの音が鳴った安土に因んで、である。

さて、今回、取り壊そうとされているシンボルタワーの、「取り壊す理由は?」であるが、「維持費に金が掛かる。」であるらしい。
これは、南口の時計が下された理由であるところの「老朽化して危ないから。」に、どうも良く似ている。

私が、「それって、どうなん?」と言えば、「父の名誉なり遺産を守らんが為に」と誤解されそうだから、余り議論したくなかった訳であるが、はっきりと発言するならば、「私としては、建物自体は、どうでもよく、しかし、安土町民の安土に馳せた夢なり思いを、父なりに、一町民として懸命に聞き取り、理解し、具現化した産物であるのだから、【この夢なり思い】は、引き継ぐべし、だろうと、私は思う。

只今、取り壊しか否や?に付いて、話題になっているところの「安土駅前モニュメント」に付いての、建物自体の私の感想は、その奇怪な形状と色彩に、少なからず「何なん、これは?」と云う、当時の感想であった。

勿論、予算の都合もあり、ここまでが精一杯であったのが実情と思われるが、この感覚は、それ以来、長く持ち続け、フェスタ信長でお呼びした岡本太郎さんに、聞くに至った。

私は、駅前で、シンボルタワーを指さし、「太郎さん、あの建物!! どう思われますか?」と、質問した。
後にも先にも、シンボルタワーの出来栄えに付いて、人に意見を求めたのは、この時、一度だけである。

すると、太郎さん。
まじまじと建物を見つめ、暫く後に、ようやく私に目をやり、
「辻さん。 これは、何なんだぁー って、思うでしょう!!
 この【何なんだぁー】が、大切で、これが驚きなんですよ。
芸術と一緒で、爆発が大事なんです。
 爆発と言っても、火花が飛ぶ訳でも、血が流れる訳でもない、真っ白な爆発!! これが大切です。
 だから、僕は良いと思いますよ。」との返答だった。

その時、『へぇー・・・・、そうなんだ。』と、まじまじ見つめ直した情景は、今も鮮明である。

安土に来られた観光客は、『なんなんだ?」と共に、『おぉー、ここが安土かぁー。』と感嘆し、また安土町民は、歴史的に価値ある安土に生まれ、そして日々を送る中で、故郷への思いに加え、誇りも持つのである。

私は、建物自体に付いては、何も言うことはないが、しかし、建物なり、イベントに馳せた夢とか思いは疎かにしたくない。

この夢とか思いは、単に父個人のものではなく、一町民として、そして町長として、安土の価値を必死に思い図り、それを具現化したものであろう。

更に言うならば、安土の歴史的価値は、単に安土町民だけのものではなく、日本の、世界の価値であり、私たち安土町民は、その価値を、世界と共に分かち持っていると言う自負と誇りを有している。

先の合併では、
人口1万2千人の旧安土町では、安土の歴史的価値を更に継承・発展させるには、その価値の大きさ故に、人材的にも財政的にも難しい点もあり、合併に対する期待もあった筈が、「老朽化の為に危険だから時計を下ろそう」とか、「維持費が嵩むから取り壊そう」の言い分では、全く納得出来ない。

旧の近江八幡市の市民にも、歴史なり文化に造詣が深い方々が沢山おられると思うのだが、どうも、今回の取り壊しに付いては、合点いかない。

一応、自治区の判断を聞いているらしいが、自治区には決定権がなく、最終的には市長室の判断になるとのこと。

喩を挙げるならば、
地蔵堂を大切にしている集落があって、この地蔵堂は、その集落には不釣り合いな程に立派なものであったとしよう。それを、隣の金持ちの集落の住人から、「あんた、維持費が掛かり過ぎるから、もう、取り壊わすよ。」と言われているに等しい。
文化とか歴史は、仏壇とか地蔵堂に近いもので、それには、思いがぎっしりと詰まっている。

シンボルタワーにしろ、時計にしろ、それ自体には、拘るものではないが、それを創るに至った夢や思いは、継承されるべきと私は考える。

それを、更に良いものにする為に、であるならば、大いに歓迎し、議論も深められようが、「維持費が嵩む」では、なんともお粗末な限りだ。

以上、先ほど質問を受け、少しまとめてみた。


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コメント 6

masako-oshima

維持費が嵩むことなどは始めから解っていたことのはず。それでも必要とした判断の素、建設されたに違いない。今回の理由は「必要ないから」が正直なところではないのかしら?で、必要ないと判断するのは誰なのかでしょうね。
by masako-oshima (2013-01-08 16:25) 

camus55

大島さん、商工会の新年会、楽しかったですね、お疲れ様。

シンボルタワーの件ですが、
昨日は旨い具合に、参加者も多くて、街協の委員も多数居られたから、ちょっと刺激的に議論を吹っ掛けましたよ。
そもそも、大島さんの仰る様に、誰が必要ないと判断し、取り壊しも含めて懸案事項として議論を進めているのか?を、何時、何処で、誰が、何のために、どの様に、を明確にして貰いたいものです。

それを隠して、通りすがりの人間とか、何の意見もない人間に「これって必要ですかね?」と質問し、「別になくてもいいんじゃないの」なる意見が少しあったからと言って、議題にするなんて、無責任極まりない、と私も思います。

バスで隣に座った建築家とも話したのですが、建造物と云うものは、それが400年前のものにしろ、40年前のものにしろ、既に建っているものは全て、維持・保存し、活用を図るのが基本的な考え方である、と話されました。
これは、鈴木保先生も、全く同様の発言をされていた様です。

維持費に付いては、前回、安土建設さんで、土肥や瓦の修理が既になされており、今後、このままの状態であるなら、殆ど、維持費が掛からないとのことであった。

それなのに、どうして、「維持費が嵩むから、」等との根も葉もない理由が独り歩きしているのか、まるで、お化けです。
同様に、「危ないから」に付いても、構造上は全く問題がないのに拘らず、まことしやかに取り壊しの理由に挙がっているなんぞは、訳が分からん。

どうして、こんな訳の分からん話しになっているかと言えば、やはり最初に戻って、「いったい誰が、何のために・・・」がお化けになっているからに、違いないと思われる。

委員の皆さんに、昨日、私が申し添えたのは、訳の分からん理由を根拠に、市当局にお任せしたい、謎と云う無責任な発言は駄目で、仮に取り壊しをするなら、匿名でなく、名前を明らかにして、その理由を自分の責任で、発言して貰いたい、である。
もちろん、委員会の推移に付いては、私は仔細に追跡して行く積りだ。

と言う事で、大島さん。
そもそも、最初に必要ないと判断したのは誰で、更に、それに追随したのは誰なのかを、この際、はっきりさせたいものです。
by camus55 (2013-01-10 16:16) 

とも

はじめまして、岐阜県の多治見市に住んでいる者ですが、へちま水を採取したいと思い、今年へちま栽培をしたいと思い、へちまの栽培方法などから検索していたら、こちらのブログにたどり着きました。出来ればへちま水を販売出来るところまでやりたいと思っていまして、栽培の事について教えて頂けないかと思いコメントさせて頂きました。宜しくお願いいたしますm(_ _)m
by とも (2013-01-11 12:54) 

camus55

ともさん、書き込みありがとうございます。

安土で、栽培をお願いしている「へちま農家さん」は、来年で3年を迎え、かなり上達されましたから、教えて貰えますよ。
岐阜からでしたら、1時間もあれば、安土に来られますので、何時でもお越しください。
農家さんを紹介いたします。

ワタセでは、「乾燥へちま」でしたら、購入させて頂きますので、沢山栽培して下さい。
これまでの経験では、苗の植え付けを、4月中旬ごろが良いようです。
栽培自体は、然程、難しくはありません。
by camus55 (2013-01-12 12:55) 

とも

お返事ありがとうございます。
是非へちま栽培についてのお話を聞かせて頂けると有難いです。宜しくお願いいたします。一度ご連絡などさせて頂いても宜しいでしょうか?
by とも (2013-01-18 10:34) 

camus55

どうぞ、ご遠慮なく。

電話でも、メールでも、ココの書き込みでも結構です。
電話は、0748-46-2103 ㈱ ワタセ  社長 辻まで。
by camus55 (2013-01-18 12:17) 

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