拝啓 区長様 (下豊浦地区の心象絵屏風製作) [安土経済人塾]
下豊浦区長様
平成24年4月25日
「下豊浦地区の心象絵屏風製作にあたってのお願い」
心象絵図を作る会役員
岡田彦士 安居昌弘 奥田憲夫 丹波道明 奥田修三
善住昌弘 清水文雄 西孫兵衛 西澤鶴之 本間静子
本間美和子 稗信子 木下輝明 西勝也 西津善樹
野瀬信弘 高木敏弘 辻貴史
滋賀県立大学 上田洋平
拝啓 区長様
本年4月13日に永町公民館にて、下豊浦地区有志20余名が集まり下豊浦地区の心象絵屏風製作に着手する旨を確認致しました。
絵屏風製作の目的は、まちづくりにあります。安土町民の目指す「まちづくり」は、これまで育まれ伝えられた安土の文化や風習に深く根差したものでなければ本物とは言えません。
安土は、大中湖の弥生時代中期の遺跡から始まり、古代の古墳、老蘇の森、観音寺城址、安土城址と、日本の歴史の中で大きな役割を果たしてきたのは周知の事実です。
河川や道などの自然の有り様も、また人の暮らし向きも、その折々に変遷を重ねて来たのでありますが、昭和20年の終戦以降は、日本全土がこれまでの歴史上、かってない変貌を遂げ、安土も例外ではありませんでした。
戦後復興とそれに続く高度成長の中、小中の湖・大中の湖の干拓事業で内湖が田畑になり、列車と車社会の到来で、それまで交通の中心であったところの海路水路が衰退し、県道・国道が敷かれました。科学技術の進歩と、それに伴う二次産業の振興の中、人の生業も、それまでの自給自足の生活が崩れ、また農業も衰退しました。
この様に、昭和20年代・30年代以前の安土と、それ以降の安土では、安土の風景も、人々の暮らし向きも、全く違ったものになりました。
懐かしい未来と言う言葉があります。
昔の思い出を単に懐かしむだけではなく、残すべきは未来に残そうと言う意思です。戦後の経済成長の中で、私たちの得た豊かさは、確かに大きなものでしたが、失くしてしまったもの、失くしつつあるものが有るのも事実です。
安土には、優れた歴史遺産、恵まれた自然環境、そして遥か昔から育み伝えられた文化があります。貧しい中にも、楽しかった日々の生活がありました。
五十年一昔と申しますが、そんな私たちの誇る自然の風景や文化が日々に薄らぎ、記憶の中から消え去りつつあるのが現状です。
60歳代前半までの世代では、知らないから、幾ら思い出そうとしても無理なのですが、今ならば未だ70歳代、80歳代、90歳代のご老人方に、聞き残すことが出来ます。
聞き取りの内容は、本や教科書には載っていないところの、お一人お一人の生活です。
何に感動し、何が美しかったのか?
何して遊び、何が辛くて、何が楽しかったのか?
何を食べ、何が美味しかったか?
等々のお話を拾い集め、それらの心象を大きな絵屏風に書き記します。
絵屏風は、私たちの故郷の生活です。
50年前、60年前の絵屏風の中に、失くしてはならない姿も見えて来ますし、また、それを後世に伝え、まちづくりに活かしたいと言うものです。
それが、歴史です。
当日は、講師として上田洋平先生をお招きしました。
先生は、「心象図法で地元学」なる手法で、既に県内の20数か所のまちづくり協議会で実施されております。
安土の下豊浦地区の絵屏風では、琵琶湖、西の湖、安土城址、掘割、古くからの集落と、日本の歴史上、最も価値あるものに仕上がる筈です。
付きましては、永町、平井、東、安土の老人会会員様の聞き取り調査に際しての公民館の使用の認可のお願いと、絵屏風作成並びに冊子印刷(講師謝礼含む)に係る経費に付きましては、まちづくり協議会をお願いしようと考えておりますので、ご指導下さります様お願い申し上げます。
敬具
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