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新宿の街 (その1)

11日、12日と東京へ出張。
初日はカタログハウス社で「本麻フトン」の打ち合わせして、翌日は西川産業へ「みのむし要塞」を提案した。新宿と日本橋である。

それぞれに要した時間は約2時間程度。
この為の出張だから、この2時間の密度は濃い。

しかし、それ以外の時間は、不思議にも仕事人の自覚が皆目無い。
そこには昔に住み慣れた東京の街が広がり、相変わらずの人混みである。

これだけ人が多いと、誰も居ないのとよく似た感じがする。
私一人が東京に放り出された感覚になる。
しかし、一人と云えども、それ程の疎外感は感じず、寧ろ心地よかったりする。

20歳を挟んで7年間暮らした東京。
学生の私は、まるて無職みたいな暮らし振りで、新宿の界隈をよくほっつき歩いたものだ。

『あの頃の私、いったい何を考えて居たんだろう?』と、ふと思った。
まぁ~しかし、今の私の頭の中が空っぽな様に、何も考えて居なかったんだろう、と用意に想像が付く。

カタログハウス社は新宿南口にある。南口から東口に抜けるには、ゴールデン街を通る。
「懐かし横丁」だか、なんかの名前が付いているんだが、昔ながらの怪しげな店が軒を並べている。
昔に、この界隈で酒を煽っていた私ではないが、妙に居心地の良い空気を感じる。別に、長居をする訳でもなく、さっと通り過ぎるだけで十分に気分が良くなる。

翌日も、新宿を歩いた。アポは2時だから、時間は充分である。
三越の前あたりで、一人の夫人がキョロキョロしていた。
私が通り過ぎたのだが、他の婦人を捕まえ、「紀伊国屋はどこですか?」と聞いた。生憎、その方は知らないらしい。ちょうど先程、紀伊国屋で本を買ったばかりだったから、振り返り、指をさして教えた。夫人はチョコンとお辞儀した。

沢山の人が私に関係なく通り過ぎ、何かの切っ掛けで目線が合う。
それぞれがそれぞれの人生を背負っているのだろうけど、知る由もなく、知る必要もない。現在、顔見知りばかりの田舎暮らしの私には、そんな東京に好ましさを感じたりする。

三越の前にあるティファニーのショップに寄ってみた。大きい建物ばかり見たから、1インチにも満たない中の小さなデザインも見たくなったからである。なーんて、少し言い訳がましいが、まあ良い。

(下へ続く)
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