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安土町商工会への意見書を書いた。

議論を深める中で、
商工会が町内商工業者に役に立つ本来の姿に戻って欲しいとの願いを込めて書いた。

本文は、以下の通りである。
安土町商工会への意見書

平成28年11月28日
安土町商工会会長、理事会、会員、事務局 各位様
理事 辻貴史
① 現状認識
私は26歳で故郷の安土町に帰省して以来、40年間を仕事に従事してきたが、現在の中小企業を取り巻く環境は嘗てない厳しさがあると認識している。安土町商工会会員は現在約250事業所を数えているが、このままでは10年後に半減しかねない実情を憂慮し、これからの商工会が果たす役割について意見書を提出する。
当然ながら会員各位の事業所では懸命に総意工夫をしておられると察するが、商工会の果たす役割も期待されている。経営指導、資金繰り、帳簿管理、経産省や県の補助金政策への橋渡し等々の支援策並びに会員間での相互扶助が求められている。これらは安土町商工会に限らず全国的な問題であるが、今こそ商工会は本来の姿に立ち戻る必要を感じている。      

② 商工会の仕事とは。
 商工会の仕事は会員の為に成されるものであり、会員が商工会の為に成すべきものでないことを先ずは認識する必要がある。商工会は、国家が全国の中小企業を支援する為に作り上げた組織であるからだ。
会員の事業所の事業拡大に協力して、一事業所たりとも廃業に追い込ませないと言う覚悟を商工会は持たねばならない。事業支援は簡単にできるものではないが、それを担うのが商工会の役割である。

③ まちづくりについて。
 商工会に於ける「まちづくり」とは、会員各位の事業所が、それぞれの本業で、町内外で活発に仕事に従事することである。各事業所は、消費者、取引先の要望に応えることで社会に貢献しいるからだ。
行政に於いては商工業者の育成は一政策に過ぎないが、安土町商工会では町内商工業者の育成こそが全てである。商工会は、この意味でも行政とは一線を画した独立した存在であり、行政の下請け機関であってはいけない。
これまで40年間を仲間と共に「まちづくり」に従事してきた私は「まちづくり」を否定するつもりはないが、しかし、「まちづくり」が商工会の本来の事業目的ではないことを確認しておきたい。
「まちづくり」や「観光振興」は、それに関係する会員の事業者を支援するものであっても、それ自体が商工会の目的ではない。更に言うならば、「まちづくり」等は会員各自が自らのライフワークとして一市民の立場で仲間を募って遂行するのが筋であると考えている。会員が市会議員等になること等を否定するものではないが、それは商工会の目的でもなく、その養成所でもない。
 私の経験では「まちづくり」は会社経営に比べ遥かに難しいと実感している。理由は留意すべき視点が多岐に渡り、完成もなく、また一人でできるものでも、一人でするものでもない。私は「まちづくり」を通して幾分かは自己の資質を高められたと思っているが、それは自己のレベル向上や仲間のレベル向上の問題である。自己を高めることは、結果的に会社経営にプラスになり得ると思うが、だからと言って商工会が独自で従事する問題でも、手に負える課題でもない。「まちづくり」や「観光開発」を安易に目標やお題目に据えてはいけない。

④ 事務局について。
商工会の資産は何かといえば、先ずは会員であり、会員相互の研鑽であり、県の連合会から派遣された職員である。これらの資産の百%を、商工会の本来の目的に費やさねばならない。
職員に本来の業務とは離れた安土山トイレのペーパーの交換等をさせていては、本来の目的を見失わせることになる。
また商工会からの会員への連絡は、旅行の案内であったり、奉仕作業の要請であったり、また職員に出会うのは寄付金を依頼される時だけ等の誹りを受けるのではなく、商工会に入って良かったと誰しもが感じられる様な会になって欲しい。

⑤ 補助金について。
国や県には中小企業向けの各種の補助金があるが、これを必要とする商工会会員に紹介し各位の事業拡大に努めることが肝要である。商工会は、公益法人であり、そのことで赤字を出してもいけないし、同時に利益を稼ぐ組織ではない。
補助金は、商工会が受けるものではなく、会員が受けるものである。
例えば地域の特産品作りや土産物の開発についてであるが、アマチュアが片手間でできる程、特産品開発は甘くはない。商工会が事業として進めるのではなく、それをプロとして、生業とする、もしくは今後、生業としたい事業者に対して、その筋の補助金を紹介して事業者を支援するのが本来の姿だ。

⑥ 指定管理業務について。
市内に於いてマッセが「瓦ミュージアム」や「資料館」の指定管理を取り下げた。理由は利益が上がらない等、多々あろうが、行政の意向とは一線を画して独自の判断している点は評価に値する。さて安土町商工会では安土山駐車場等の管理運営の指定管理を長年に渡り受けているが、私は3つの点で市に返却すべきであると思っている。
理由は、第一に商工会の本来の事業ではないこと。第二に損益が発生すること、最後には市民感覚からズレがある三点だ。
以前は駐車場の収入があったが、まともに人件費を計上すれば黒字も怪しく、そもそも職員にさせる業務ではない。この場合は、利益が出て当然だが、そもそも商工会は営利団体ではない為に、この金を隠し、流用した経緯が発覚してしまった現実を、重く受け止める必要がある。
また今回、これまで無料であったトイレを有料化することには誰しもが疑問を持っている。市内の観光地の中で市有のトイレと言えば八幡堀があり、利用客が最も多い。この八幡堀が無料で、安土山が有料と言うのも解せない。仮に、市が市有トイレ全部を有料化するとしても、商工会がこの受け皿になるべきではない。それを決めた市が実施して、良し悪しを世に問えば良いだけの話だ。
これは単に行政の意向に沿うだけのもので、会員の意向でもなく、また一般市民や観光客の要望からもかけ離れている。仮に、行政が独自に実施して反感を買ったとしても商工会が責任を問われることはないが、このままでは指定管理者の商工会が有料化を受諾して200円を徴収している様相となる。トイレは有料化が望ましいかについては、市が決めることで、商工会には決定権がない現状では、返却の道を選ぶか、市の言いなりの下請け組織と成り下がる道を選ぶかの二つの選択肢しかない。
商工会と言う組織は、そもそも資金の多くは、国の定めた法律に即しての補助金受給団体であり、その目的は、先に述べた通りだ。商工会の人的・財政的資産は、本来の活動の為に使われることが筋であり、それ以外の仕事を引き受けることは本来の仕事に支障を来すだけであるし、今は、そんな状況ではない。
市からの補助金もあって、どうしても商工会で受けたいと言うのならば、第三の道もある。この指定管理を商工会の会員もしくは団体が、その会社の業務として受ける方法だ。この場合の収入は、補助金と入場料収入と土産物等の販売手数料であり、支出は人件費と備品費と草刈り等の維持管理費となる。企業努力の中で利益を出せると判断するならば、会員もしく団体にその旨を伝え、募集すれば良い。この場合の橋渡し役ならば、商工会の仕事になる。要は、安土町商工会本体が職員を当てに本来の目的から外れた事業をすべきではない。



以上は、これまでと先の理事会での私の感想である。前述以外にも、移管を進めている事業があるが、これらも基本となる考え方を踏まえれば、自ずと対処の仕方は明白になろう。組織の抜本的な変革が必要な今こそ商工会の在り様について理事並びに会員、職員も含めて広く深く議論を重ねる中で意識の向上を図り、会員に真に役に立つ商工会を目指すべし、と考え意見書を提出する。

以上

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コメント 5

安土大好き

この意見書は安土町商工会会長にも届いているのですね。
今、安土まち協が中心になって懸命に画策している「拠点建設促進会議」の議長という人は安土町商工会の会長と同一人物でしょ。あの拠点建設の話というのは、辻さんが考えておられる、安土町の商工業振興にどんなメリットがあるとお考えでしょうか。この前入っていた共産党のチラシでは「水がつく低湿地への建設はいかがなものか」と書かれていましたが、そんな問題なのでしょうか。そもそも拠点建設の予定地は、辻建設委員長がおっしゃっていた安土の将来ビジョンを熟慮した上での場所ではなく、市長の後援会の人たちの所有地が有利な条件で売却できるようにと、あらかじめ「ここ」と決まっていた所です。予定地とされている土地の、県道を挟んだ西側の田んぼ(東南寺崖下)も、後援会の人たちが市長に直談判(陳情)を繰り返し、近々市街化区域に変更されるようです。事前にその情報を知っている地権者は、まだ変更にもなっていない段階で土建業者と土地売買の話し合いを進めており、促進会議のメンバーは拠点建設や用地転用の見返りに次回の市長選挙の票集めにも奔走するという、まさに利益誘導の政治が横行している中での拠点建設促進要望なのです。現に促進会議のメンバーの所有地が候補地に多く含まれており、とうていまちづくりのビジョンのうえに成り立ている話ではないのです。その会議の議長が安土町商工会議会長なのですから、辻さんの要望が届いているとは思えません。

by 安土大好き (2016-12-02 16:31) 

camus55

安土大好きさん、こんにちは。書き込みありがとうございます。
商工会会長と議長は、同一人物だと思います。
以前のブログに書きましたが、前回の小学校を含むコミセン等建設の要望書で、理事会に諮ることなく無断で商工会会長印を押した方です。もちろん、理事会で問題にしたところ、謝罪こそされましたが、公私混同が甚だしいと言わざるをえません。
先日、またまた「拠点建設促進会議」なるものが新設されたみたいですが、前の建設委員長であり安土小学校の同窓会長である私は呼ばれていません。市長の思い通りになる人間だけを集めて要望書を書かせているだけの話です。市長の手先となる人間が大きな顔して、言うことを聞く人間だけを集めていては、とても「まちづくり」とは言えませんね。困った事態ですが、こんなことは長続きする筈がありませんので、めげずに頑張るべしと思っています。
今朝は、テレビ朝日の番組で「安土山トイレの有料化」が取り上げられていましたね。安土のイメージダウンは避けられません。商工会長は、市長の意向で泥かぶり役をしたい模様ですが、意見書にも書いた様に、こんなことをしていては、商工会会員の将来が危ぶまれますので私は反対です。
そもそも「まちづくりのビジョン」についてですが、現状では、一体、誰が誰の為に何の目的で策定するのかを理解していないと言わざるを得ませんね。少なくても、市長が、市長の言いなりになる人間を使って、市と地権者の利益の為にするものではありません。

>その会議の議長が安土町商工会議会長なのですから、辻さんの要望が届いているとは思えません。
ご指摘は私もよく理解していますが、そうはならない様に頑張っています。
意見書は、滋賀県商工連合会へも提出し、また友人も多く、文章での返答を要望してますから、いい加減な対応はできないと思っています。
望まない方向に進むのなら、またブログに書きますので、ご意見を下さい。
by camus55 (2016-12-02 17:59) 

大島 正子

昨日のTV放送視ました。安土の住人としてとても恥ずかしい思いです。観光地でトイレを有料化することなど日本では前例が無いでしょう。その理由としての市長のコメントも単純すぎて呆れてしまいました。コミセンの件、安土城址の件、私利私欲絡みの思惑や汚れた手法を一掃するにはトップの交代が不可欠ですね。
ところで12月14日に「近江八幡女性まちづくり塾スキルアップ講座」の講師依頼を受けています。市政に対して女性の意見が不足しているとのことで起業のノウハウや今後の町づくりへ繋げる女性の視点で意見、発想の提案を求められています。
安土からは、私と高木あゆみさんが発表する予定です。
活力ある女性陣と意義のある時間を過ごしたいと考えています。
by 大島 正子 (2016-12-03 13:23) 

camus55

大島さん、書き込みありがとうございます。
テレビでの市長は、安土には観光客が金を落とすところがない。だから金を払って貰う、その為のトイレ等の経費は受益者負担なんだ、と言う筋の意見なんでしょうが、しかし、わざわざ有料にしても、その使用料は人件費に消えてしまうだけじゃないですか。これは、単にる総見寺の和尚と市長の喧嘩としか見えず、喧嘩するにしても、もう少し大人になっ欲しいと思います。
少なくとも、ガイダンスとトイレの入場料徴収の管理責任者として「安土町商工会」の名前を出して欲しくはないですね。商工会の本来の仕事ではなく、笑いものになるだけです。
講師をされるとのこと、良いと思います。これからの日本は女性経営者の頑張りにかかっていると思います。その為の環境整備は急務であり、特に男性の古来の偏見は改めるべしでしょう。もっとも、この偏見は男に限らず、女が女の敵になったりもしますから、めげずに蹴散らかし、女性陣をリードしてください。
商工会による「まちづくり」や「観光開発」についてですが、お隣の八幡に「たねや」さんと言う良い例があります。例えば、萬五郎さんが第二の「たねや」さんになったとしたら、どうでしょう。それだけで安土にバスが連なることでしょうね。飯魚さんの鮒ずしもあゆみちゃんのスイーツにも大きな可能性を感じて期待しています。
市長が本気で「安土には金を落とすところがない」と思っているのなら、商工会に200円の入場料徴収をさせて足を引っ張るのではなくて、土産物等に関わる商工業者繁栄を願い支援する様な政策を打ち出すことじゃないでしょうか。
by camus55 (2016-12-03 14:11) 

camus55

訂正です。
正しくは、「万吾樓(まんごろう)」です。
変換ミスで歴史ある店名を間違えてしまいました。すんません。

他にも、細かな打ち間違いがありますが、これらは些細なことですから、あえて訂正は致しません。
by camus55 (2016-12-03 14:22) 

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